血糖値が高いと血管が傷つき、さまざまな合併症が現われます

血糖値が高い状態が長い期間続いていると血管が傷つき、血流が悪化します。これにより、さまざまな合併症が起こります。糖尿病の合併症というと、糖尿病網膜症・腎症・神経障害が有名ですが、これらは細い動脈や毛細血管などがダメージを受けたために起こります。

しかし、ダメージを受けるのは細い血管だけではありません。太い動脈も痛んでくるのです。太い動脈が痛んだことで起きた合併症を総称して「大血管障害」といいます。その代表が、血管壁の傷んだ部分にコレステロールなどが溜まって内腔が狭くなったり、もろくなる動脈硬化です。

動脈硬化が進行して動脈が詰まってしまうと、そこから先の血流が途絶えてしまい、血液によって栄養分が供給されなくなった組織は死んでしまいます。脳の動脈でこのような状態が起きるのが脳梗塞、心臓を動かす筋肉に血液を送っている冠動脈でおきるのが心筋梗塞です。

糖尿病の初期には自覚症状がないためか、この病気が心筋梗塞・脳梗塞にリンクするとは想像できない方も少なくありません。しかし、糖尿病の人はそうでない人に比べて脳梗塞のリスクが2〜3倍、心筋梗塞のリスクが2〜4倍あるといわれています。

もちろん、血糖値のコントロールがうまくいっていればこうした事態を避けることができますので、必要以上に心配する必要はありません。しかし、糖尿病を甘く見るのは危険です。適度に病気を意識して、今期よく治療に取り組むことが求められます。

糖尿病は初期の段階では自覚症状が少なく、下の欄で紹介している三大合併症も静かに進行します。そのため、自分の体の状態を知るために定期的な検査を受けることが欠かせません。

まず、糖尿病かあるいは境界型(糖尿病予備軍)を診断するために行われる検査としては、必要に応じてブドウ糖などを負荷するなどして血糖値を調べます。糖尿病と診断を受けた患者さんは、血糖コントロールの状態を調べるためにHbA1c(ヘモグロビンA1c)や尿ケトン体の検査を行います。

HbA1cは、過去1〜2ヶ月間の血糖値の状態を調べることができ、血糖値の動きを詳細に把握することができます。同時に、血圧の管理をはじめ血中コレステロールや中性脂肪などの管理も行えるため、多方面から代謝コントロールを行えます。糖尿病を発症した人は、1ヶ月に1〜2回の頻度で採血を行い、HbA1cの検査を受けるとよいでしょう。

そして、合併症を早い段階で発見するために、網膜症と腎症、神経障害に関する検査を行います。高血圧は腎臓の負担を増大させ、腎症を悪化させるので、血圧測定も実施されます。

放置すると人工透析が必要となる腎症

ダメージを受けやすい細い血管に腎臓の細小血管があります。腎臓は血液をろ過し、体内に不必要なものな血液中の老廃物を尿として体外に排出する役割を担っていますが、一方では必要と判断されたものを血液に戻すという重要な働きもあります。

この機能を受け持っている部位を「糸球体」といいますが、この糸球体は細小血管が集中している組織ですので、糖尿病によって特に損傷されやすい場所となっています。

糸球体の細小血管が傷むと、老廃物をろ過する機能が低下し、体にとって毒となるものが残り、逆に体にとって必要なたんぱく質が尿として体外に出てしまうことになってしまいます。

この段階では自覚症状はありませんが、これが悪化すると腎不全となり、最悪の場合には尿毒症という命に関わる状態に陥ってしまいます。腎不全が末期になると人工透析を受けなければなりませんので、時間的にも精神的にも大きな負担を強いられることになります。

脆くて出血しやすい新生血管が増える網膜症

瞳の一番奥にある網膜はカメラに例えるとフィルムの役割を果たしており、正確な画像を受け取るために酸素や栄養素を運ぶ、極めて細い血管が網の目のように張り巡らされています。

糖尿病を放置して高血糖状態が長く続くと、この血管が傷んで小さな瘤のように膨らむ毛細血管瘤や小さな出血が網膜にできるようになります。また血管の一部が光速を起こすと、その部分には血液が流れなくなるため白斑が現われるようになります(単純網膜症)。

この段階では視力低下などの自覚症状はありませんが、放置しておくと血管の出血が酷くなり、これを補うために新しい血管ができるようになります。

この血管は非常に脆くて壊れやすいという欠点があるため、できては敗れるという繰り返しが続くと、単純網膜症が悪化し、増殖網膜症となり、更に悪化すると失明する可能性も出てきます。

早くから症状が現われる神経障害

他の合併症より、早い段階から多くの患者さんに現われます。高血糖状態が続くと、細小血管だけではなく末梢神経にも変性が生じ、さまざまな神経障害が現われることになります。

一般的に体の末端から始まりますので、手足の先を冷たく感じたり、痺れや痛みといった症状を感じるようになります。特に気をつけたいのは、手足の冷たさや痺れを感じなくなったときです。

神経繊維の損傷が激しくなると、痛いや痺れを感じることが出来なくなるので、症状が消えたと安心してそのまま放置してしまうケースが少なくありません。靴ずれや怪我などの痛みを感じなくなり、気づかないままでいると、最悪の場合は足が壊疽を起こすことがあります。

現在、日本国内には糖尿病の予備軍とされる人が約1000万人いるとされています。既に糖尿病を発症してしまった人は、医師の指導の下、正しい食事療法と運動療法、そして薬物療法を行えば病気をコントロールすることも可能です。

糖尿病予備軍の人は、この段階で生活習慣の改善を行い、血糖値を上手くコントロールすることができれば糖尿病の発症を防ぐことができます。しかし、「自分は大丈夫だから」と、暴飲・暴食を繰り返すケースが少なくないようです。

糖尿病の予防には、1次予防から3次予防までの3段階に分けることができます。糖尿病予備軍と医師から診断された人が、糖尿病を発症しないようにするのが「1次予防」で、糖尿病になった場合に、血糖コントロールを行うことで網膜症・腎症・神経障害などの合併症を防ぐのが「2次予防」です。そして、網膜症で失明したり、腎症が進行して腎不全になるといった末期臓器障害を防ぐのが「3次予防」です。糖尿病は、最初の1次予防の段階で生活習慣を見直し、発症を防ぐことが肝要です。

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